ベトナム現地法人の設立に関する手続きと流れをわかりやすく解説
法律と実務に精通したベトナム人弁護士が、現地法人設立(IRC・ERC取得)の全体の流れと注意点をわかりやすく解説します。
失敗を防ぎ、時間とコストを節約するためのポイントをぜひご覧ください。
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目次
01|現地法人設立までの全体プロセスを理解する
本記事では、日本人投資家による直接投資型(外資100%または合弁)の新規法人設立を対象に解説します。
※規制業種や製造業に該当しない「一般サービス業」を前提としています。
📌 全体の流れ
| ステップ | 内容 |
| Step 1 | 「ベトナム進出に関する事前検討事項」を参考に、進出の目的や条件を整理 |
| Step 2 | 事務所(オフィス)の確保 |
| Step 3 | 投資登録証明書(IRC)の取得 |
| Step 4 | 企業登録証明書(ERC)の取得 |
| Step 5 | 設立後の各種届出・開業準備(税コード登録、銀行口座開設など) |
📌 所要期間の目安
- 事前準備:約1か月
- IRC取得:約2〜3か月
- ERC取得:約1〜2週間
※業種や地域により前後します
02|会社所在地(オフィス)の選定と注意点
- IRC取得には会社住所の登録が必須
- オフィスビルや一軒家などは可だが、分譲マンションは不可
- 事前に当局や専門家に所在地が適格か確認しておくと安心
📌 IRC取得前は本契約ではなく、**賃料発生しない「基本賃貸契約」**を結び、IRC取得後に本契約を締結するのがおすすめ
📌 バーチャルオフィスも可だが、税務調査で同住所の他社違反に巻き込まれ、税コードが一時停止されるリスクがある
📌 物件オーナーがIRC申請に必要な各種書類(権利証・建設許可・消防許可など)を提供できるかを事前確認
例:教育ライセンスを取るには、その土地の使用目的が「教育」である必要がある
03|投資登録証明書(IRC)を取得する手順
3-1|IRCとは
- 「投資登録証明書」
- 現地法人設立も一つの投資プロジェクトとみなされるため、まず投資計画を申請 → 承認されると発行される
- 不動産開発、発電所等の個別プロジェクトも同様に申請が必要
3-2|必要書類
(※地域や担当者によって追加資料を求められる場合あり)
- 投資計画申請書(所定フォーム)
- 投資家の証明書類(個人:パスポート/法人:登記簿謄本)
- 投資プロジェクト提案書(目的、規模、総投資額、場所、期間、環境配慮などを含む)
- 財務能力証明(直近2年の決算書、親会社の支援誓約書、金融機関の保証、残高証明など)
- 事務所関連書類(賃貸契約・土地使用権証明・建設許可・消防許可など)
- 技術審査が必要な場合は技術説明書
- 委任状
3-3|必要な期間と領事認証
- 事前準備:約1か月(日本側書類は領事認証が必要)
- ベトナムでの審査:約2か月
📌 領事認証手続の流れ
①公証 → ②法務局証明 → ③外務省アポスティーユ → ④ベトナム大使館認証
(ワンストップ対応の公証役場なら②③省略可)
公証役場には事前に「ベトナム提出用の認証希望」と伝えて予約しておくとスムーズです
公証役場一覧:https://www.koshonin.gr.jp/sho.html
3-4|注意点
IRCには総投資額(自己資本金+借入枠)を登録する
→ 自己資本は定款資本金と同額
→ 借入枠は将来の資金調達余地として多めに設定がおすすめ(調達は必ず借入枠内に抑える)
- 業種により審査期間・複雑さが大きく異なる
→ 市場アクセス制限のある業種やWTO未開放分野は関連省庁との協議が必要になる場合あり
04|企業登録証明書(ERC)を取得する手順
4-1|ERCとは
- 「企業登録証明書」
- 日本の登記簿謄本に相当
- IRC取得後に申請する
4-2|必要書類
(※地域や担当者によって追加資料を求められる場合あり)
- 企業登録申請書(所定フォーム)
- 定款
- 出資者リスト(二人以上の有限会社)
- 発起株主リスト(株式会社)
- 投資家の証明書類(登記簿、パスポート等)
- 法人出資者の場合:委任代表者のパスポート・委任状
- 法定代表者のパスポート
- 投資登録証明書(IRC)
- 委任状
4-3|必要期間
- 書類準備:約3日
- 審査:約1週間
4-4|注意点
- 法人出資者の場合は委任代表者を任命
- 法定代表者はベトナムに常駐する必要あり(不在時は駐在者に委任)
📝 まとめ
- ベトナムでは、IRC → ERCの順に取得する
- 所在地・書類準備・認証・当局審査など手続きが多岐にわたる
- 事前に専門家に相談して設計することで、大幅に時間とコストを節約できる
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