現地法人設立に関する投資スキームの基本解説
ベトナムで事業を始める際、最初に直面するのが「どのような形で現地法人を設立するか」です。本記事では、新規法人設立(直接投資)と既存法人の取得(間接投資/M&A)という2つのスキームを、ベトナム法に精通した専門家が徹底解説します。
自社に最適な進出形態を見極めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
Category: 進出手続
Tags:外資規制, 投資法,現地法人設立,M&A,外資企業, 投資スキーム
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目次
- はじめに
- 2つの投資スキームの概要と比較
2.1 直接投資スキーム(新規に現地法人を設立)
2.2 間接投資スキーム(既存法人を取得・M&A) - 直接投資スキームの詳細
- 間接投資スキームの詳細
- まとめ:どちらを選ぶべきか
1. はじめに
ベトナムで事業を始める際、日本企業や個人投資家が最初に直面するのが「どのような形で現地法人を設立するか」です。
主な方法は、
- 新規で現地法人を設立する(直接投資スキーム)
- 既存の現地法人を買収する(間接投資スキーム/M&A)
の2つに大別されます。
2. つの投資スキームの概要と比較
| 項目 | 直接投資スキーム | 間接投資スキーム |
| 方法 | 新規に現地法人を設立 | 既存現地法人の株式・持分を取得(M&A) |
| 主なメリット | ブランド構築がしやすい 法令遵守や企業文化を一から整備できる | すぐに事業開始できる 既存ネットワーク・人材を活用できる |
| 主なデメリット | 設立に時間がかかる 市場開拓に時間とコスト | 過去の法的・財務リスクを引き継ぐ 文化統合に時間がかかる |
📌 直接投資 → 長期的に独自戦略を展開したい場合
📌 間接投資 → 迅速に市場参入したい場合
直接投資スキーム(新規に現地法人を設立)
概要
- ① 外資100%単独での出資
- ② ベトナム現地パートナーと合弁設立
の2パターンがあります。
- 外国投資家:外国籍の個人または外国法人
- 外国資本を有する現地法人:FIE(Foreign Invested Enterprise)
📌 外国投資家が50%以上出資している場合や、FIEが50%以上出資する場合は「外資企業」とみなされ、外資規制や条件の適用対象となります。
直接投資スキームのメリット・デメリット
| 形態 | 主なメリット | 主なデメリット |
| 外資100%単独出資 | ・経営判断を全て自社で行える ・迅速な意思決定 ・技術やノウハウを外部に開示せず秘密保持ができる | ・全てのリスクを単独で負う ・現地商習慣や市場知識が乏しい場合は時間・コスト負担大 |
| 合弁会社 | ・外資規制がある業種でも出資できる ・現地パートナーの販路・ノウハウを活用可能 ・資本負担やリスクを分担できる | ・意思決定に時間がかかる ・現地側の不正行為リスク(不正報告・贈収賄等) ・文化や価値観の違いからトラブルになりやすい |
📌 注意点
- 単独出資できない業種もある → 事前確認が必須
- 合弁の場合は パートナー企業の信用調査 を推奨
間接投資スキーム(既存法人を取得・M&A)
概要
- 実質的なM&A:既存法人の株式・持分を購入、または組織再編(吸収合併・新設合併等)で取得
- 形式的なM&A:
① ベトナム人名義で100%内資法人を設立(X社)
② X社の100%持分を日本投資家が取得(M&A承認手続)
③ X社を内資→外資企業へ変更
形式的M&Aと直接投資の比較
| 項目 | 直接投資 | 形式的M&A |
| 手続期間 | 約3か月(準備除く) | ローカル設立約1週間 + 外資転換1.5〜2か月 |
| 複雑さ | 各種許認可・審査が必要 | 書類準備は2週間程度、迅速に事業開始可能 |
| 特徴 | 一から制度構築・ブランド構築ができる | スピーディに参入できるが、過去リスク引き継ぎに注意 |
📌 50%以下の株式取得ならM&A承認不要 → スムーズに進められるケースも
- まとめ:どちらを選ぶべきか
- 直接投資:
長期的に独自ブランドを築きたい、完全な経営コントロールを重視したい場合に適しています。 - 間接投資(M&A):
迅速な市場参入や、既存の販路・人材・ノウハウを活用したい場合に有効ですが、過去リスクの管理が重要です。
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