2025年改正ベトナム投資法|外資企業に追い風となる制度改革とは【徹底解説】
2025年7月施行の改正投資法では、首相承認の範囲縮小や特別投資制度の新設など、外資企業に追い風となる制度改革が導入されます。 本記事では、そのポイントをわかりやすく解説します。投資判断や進出戦略に役立つ最新情報を、ぜひご活用ください。
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目次
- 01|なぜ首相承認が不要に?2025年投資法の大胆な緩和策
- 02|地方政府に承認権限を移管:外資にとって何が変わる?
- 03|「特別投資手続制度」とは?外資・スタートアップに追い風
- 04|無人航空機とデータ関連が新規制対象に:参入前に要チェック
2025年7月施行の改正ベトナム投資法では、投資承認制度に大きな見直しが入りました。
首相承認の範囲縮小、地方政府への分権化、特別投資手続制度の新設、無人航空機やデータ関連事業の新規制など、外資企業の投資判断・進出戦略に直結する重要改正です。
ここでは、それぞれの変更点と企業に求められる実務対応を、わかりやすく解説します。
01|なぜ首相承認が不要に?2025年投資法の大胆な緩和策
2025年7月1日から施行される改正投資法では、ベトナム首相による投資方針承認が必要な案件の範囲が大幅に縮小されました。
主な変更点は以下のとおりです。
① 港湾建設プロジェクトの見直し
従来はすべての港湾区画が首相承認対象でしたが、今後は
「特別港または第一級港に属する港湾区画で、投資規模が2兆3,000億VND以上」
に限定されます。
② 世界遺産区域での制限緩和
これまでは世界遺産区域内での全てのプロジェクトが承認対象でしたが、今後は
「文化遺産保護法に基づく保護区域I(中心部)に位置する案件のみ」
が承認対象になります。
③ 工業団地・輸出加工区のインフラ開発案件の承認撤廃
これまで必要だった「工業団地、輸出加工区のインフラ開発および運営プロジェクト」への首相承認が、不要となりました。
💡実務への影響
- 大規模・戦略的な投資だけに国の関与を絞り、その他の民間投資は迅速に意思決定できる環境に
- FDI企業にとって、承認プロセスが簡素化されプロジェクト開始スピードが向上
02|地方政府に承認権限を移管:外資にとって何が変わる?
今回の改正では、一部の投資プロジェクトについて、中央政府(首相)から省人民委員会へ承認権限が移管されました。
これにより、プロジェクト承認に要する時間が短縮され、企業の初動スピードが大幅に向上します。
新たに省人民委員会が承認できる案件
- 国家遺産または特別国家遺産の保護区域I に位置するすべてのプロジェクト
- 工業団地・輸出加工区のインフラ開発および運営事業
- 特別港湾に属する港湾区画の新規建設プロジェクト(投資額2兆3,000億VND未満)
💡実務的メリット
- 承認プロセスの迅速化・行政コストの削減
- 地方政府と直接交渉できる
- 地域インフラや土地状況に即した柔軟な判断が可能
📌工業団地・港湾区画といった「地域経済の中核インフラ」案件の承認が地方に移ることで、各省がより積極的・戦略的に外資を誘致できるようになります。
03|「特別投資手続制度」とは?外資・スタートアップに追い風
今回新設されたベトナム投資法第36a条により、**一部のハイテク・戦略分野で投資前手続を大幅に簡略化できる「特別投資手続制度」**が導入されました。
対象
- 工業団地、輸出加工区、ハイテクパーク、集中情報技術区、自由貿易区、経済区など
- 分野:R&D、イノベーションセンター、半導体、電子材料、先端部品など
最大の特徴:15営業日でIRC発行
- 投資方針承認・技術審査・環境影響評価・建設許可・消防審査などをスキップ
- 必要書類を提出すれば、15営業日以内に投資登録証明書(IRC)取得可能
💡メリット
- 初期リソースが限られるスタートアップでも参入しやすい
- 外資系テック・製造企業は時間・コスト・法的リスクを最小化して迅速展開
※ただし、開始前に「経済・技術報告書」と「技術審査結果」を提出する必要あり。
04|無人航空機とデータ関連が新規制対象に:参入前に要チェック
2025年改正ベトナム投資法では、**国家安全保障・デジタル経済の観点から新たに6分野が「条件付き投資・事業分野」**に追加されました。
| No. | 分野 | 内容 |
| 1 | 無人航空機・航空エンジン・関連装備の輸入・仮輸出入 | 国際流通関連 |
| 2 | 上記機器の販売・リース・商業運用 | ドローン等 |
| 3 | 上記機器の研究開発・整備・修理 | 航空機関連製造・技術サービス |
| 4 | データ仲介サービス | データブローカー、API提供など |
| 5 | データ分析・統合サービス | ビッグデータ解析、BIなど |
| 6 | データプラットフォームの運営 | データ取引所・流通市場運営 |
💡背景
- 国家安全保障やAI・ビッグデータなど重要産業に関係するため
- 今後外資企業の参入が見込まれるため、健全性・透明性確保の観点から条件付きに
📌まとめ
- 今回の改正ベトナム投資法は、「外資にとっての手続きの壁」を大胆に低くする改革
- 地方分権・手続迅速化・ハイテク支援・データ規制整備という4本柱
- 今後ベトナムで事業を始める日本企業にとって、大きな追い風となる制度改正
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