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BCC契約と外国人出資比率制限の関係を徹底解説


外国人出資比率制限は合弁会社にのみ適用されるのか、それともBCC契約にも影響するのか。本記事では、法律と実務に精通したベトナム人弁護士が、BCC契約と出資比率制限の関係を徹底解説します。
ベトナムでの投資リスクを最小化したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

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目次

01 – WTO約束表における出資比率制限の位置づけ
02 – BCC契約における資金拠出と「出資」の本質的違い
03 – ベトナム投資法(2020年版)から見る法的整理
04 – 実務での運用と当局見解
05 – 安全にスキームを構築するための注意点

01 – WTO約束表における出資比率制限の位置づけ

ベトナムがWTO加盟時に提出した「サービス貿易約束表」には、
特定分野(例:映画上映、陸上輸送など)で外国投資家は49%や51%までとする出資上限が明記されています。

一部の業種では「合弁会社またはBCCによる参入が許可される」との記載もあり、
ここから「BCCにも出資比率制限が適用されるのでは」と解釈される余地があります。

しかし、「出資比率(equity capital)」は法人形態を前提とする概念であり、
法人格を持たないBCC契約には本来適用されないとする見解が有力です。

02 – BCC契約における資金拠出と「出資」の本質的違い

BCC契約では、「出資比率」というより資金拠出割合・利益分配割合が設定されます。
BCCは新会社を設立せず、各当事者が独立した主体として契約ベースで事業協力する形態です。

そのため、「出資比率上限」という法人向けの規制を、
そのままBCCに適用するのは制度的に整合しないと考えられます。

03 – ベトナム投資法(2020年版)から見る法的整理

ベトナム投資法(2020年版)第9条は、
外国投資家に対する「市場アクセス条件」として出資比率制限は法人(組織)に適用されると明記しています。

一方、BCC契約は法人格を持たない契約スキームであるため、
理論上はこの制限の対象外と整理できます。

04 – 実務での運用と当局見解

実務上も、関係当局からは非公式ながら
出資比率制限は合弁会社に適用され、BCCには直接は適用されない
と説明されるケースが多くあります。

また、過去にBCC契約に出資比率制限を適用して問題視された例は稀で、
実際には出資割合や利益分配割合を柔軟に設計している事例がほとんどです。

05 – 安全にスキームを構築するための注意点

とはいえ、以下のようなリスクには注意が必要です:

  • 電気通信・映画上映などの専門規制業種では、別途外国支配を制限する条項が設けられている場合がある
  • 名目上はBCCでも、実質的に外国側が完全支配しているとみなされれば、当局から是正を求められる可能性がある

結論

現行の法制度と実務運用を踏まえると:

  • 出資比率上限は「法人」に対する規制であり、
  • BCC契約には原則として直接適用されない

と解されます。

ただし、事業分野やスキーム内容によっては**「実質的支配力」まで審査される**可能性があるため、
事前に法的リスクを精査し、専門弁護士と相談しながら慎重に契約設計を行うことが不可欠です。

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