ベトナムビジネス契約における一般条項 ― 日本企業が必ず押さえておくべき14のチェックポイント
契約は単なる形式ではなく、リスク回避と事業成功のための最重要ツールです。本記事では、ベトナムで契約を締結する際に**必ず盛り込むべき「一般条項」を、わかりやすく解説します。
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目次
01 – 契約当事者に関する情報
02 – 経緯(背景)
03 – 定義条項
04 – 契約期間条項
05 – 通知条項
06 – 最終性条項・修正・変更条項
07 – 契約譲渡制限条項
08 – 契約解除条項
09 – 不可抗力条項
10 – 国際契約に特有の条項
11 – 無効規定の分離可能性条項
12 – 秘密保持条項
13 – 税務に関する条項
14 – その他の一般条項
01 – 契約当事者に関する情報
- 会社名・所在地・法人格を示す書類情報
- 署名権限者(法人なら法定代表者)
✅ 基本情報が不正確だと契約自体が無効になるリスクもあるため、最重要項目です。
02 – 経緯(背景)
- 契約締結に至った経緯・目的
- 各当事者の内部決裁手続の完了確認
03 – 定義条項
- 用語や解釈を明確に定義
- 契約書が長ければ別条項、短ければ本文中に記載
04 – 契約期間条項
- 期間の有無、署名日と効力発生日の分離
- 自動更新/更新条件(協議・実績・一方意思など)
- 終了日または終了条件
- 途中解除の条件
05 – 通知条項
- 通知方法(書面・メールなど)、通知先担当者、変更時の通知義務
- 通知の到達時点の定義
06 – 最終性条項・修正・変更条項
- 契約前の合意・やり取りはすべて本契約に統合
- 修正は書面による合意を必須に
07 – 契約譲渡制限条項
譲渡禁止
- 書面同意を要する
- 関係会社等への限定的譲渡を許可する例外
08 – 契約解除条項
- 解除事由
- 解除手続き
- 解除後の法的効果・責任分担
09 – 不可抗力条項
- 対象となる事象(天災・戦争など+当事者定義)
- 金銭債務には適用しない旨
- 通知義務
- 長期化時の解除権
10 – 国際契約に特有の条項
- 準拠法(ベトナム法、日本法、第三国法など自由に選択可能)
- 紛争解決機関(裁判or仲裁/ベトナム・日本・第三国)
- 外国判決のベトナムでの執行承認手続に注意
- 契約言語と優先言語の指定
11 – 無効規定の分離可能性条項
- 一部条項が無効・違法でも、残りは有効とする
- 無効条項を適法な条項に置換する義務
12 – 秘密保持条項
- 秘密情報の定義
- 義務範囲と例外
- 違反時の損害賠償・懲罰的損害
- 秘密保持期間(契約終了後も存続可能)
13 – 税務に関する条項
- 税負担者、申告・納税義務者
- 納付タイミング、証明書提出義務
14 – その他の一般条項
- 表明・保証
- 事情変更条項
- 贈収賄禁止
- 個人情報保護
- 相殺条項
- 見出し条項/副本条項/存続条項 など
✅ まとめ
これらの条項は、一見「形式的」に見えますが、
後の紛争リスクを最小化し、**ビジネスを守る「最後の砦」**です。
契約書をドラフトする際は、ベトナム法に精通した専門弁護士とともに、
案件内容に合わせて一つひとつ検討することをおすすめします。
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