ベトナム法人における会計年度と税務申告の流れ【基礎解説】
ベトナム法人を設立したら、会計年度の設定と税務申告の流れを理解しておくことが重要です。この記事では、日本人経営者向けに、会計年度の決め方から主要な税金、申告スケジュールまでをわかりやすく解説します。
1. ベトナムの会計年度とは?日本との違い
- ベトナムでは、原則として1月1日から12月31日までが会計年度です。
- ただし、会社設立時に申請すれば、例えば4月1日から翌年3月31日といった別の年度を選ぶことも可能です。
- 日本本社の決算期と合わせないと、連結決算のときに調整が必要となり、手間が増えます。
👉 設立時点で「ベトナム税務当局に合わせる」か「日本本社に合わせる」かを慎重に検討しましょう。
2. ベトナム法人が納める主な税金
日本と似ている部分もありますが、違いも多いので注意が必要です。
- 法人所得税(CIT)
- 日本の法人税にあたる税金。
- 税率は**20%**が基本。
- 四半期ごとに概算申告、年末に確定申告を行います。
- 付加価値税(VAT)
- 日本の消費税に近い制度。
- 一般的な税率は10%。一部は5%または0%。
- 月次または四半期ごとに申告が必要です。
- 個人所得税(PIT)
- 従業員の給与から源泉徴収して納付します。
- 日本の所得税にあたる税金。
- その他の税金
- ライセンス税(事業登録税):毎年初めに納付(約200〜300万VND/年)。
- 外国契約者税(FCT):海外業者へ支払いをする場合に課税されます。
👉 特にVATの申告遅れやライセンス税の納付忘れは、日本企業がよく指摘を受けるポイントです。
3. 税務申告の基本的な流れ
ベトナムでは、年1回の申告だけでなく、月次・四半期ごとに繰り返し申告が必要です。
- 証憑の収集
- 仕入や経費の請求書(VATインボイス)、売上請求書を集めます。
- 申告書の作成
- VAT・PITは月次または四半期ごとに作成。
- CITは四半期ごとに概算申告。
- 電子申告
- 税務総局のシステム(https://thuedientu.gdt.gov.vn)で申告。
- ベトナム語のみ対応なので、現地会計士のサポートが必須です。
- 税金の納付
- 国庫(国家財務口座)に送金。
- 入力ミスがあると「未納扱い」になるので注意。
- 年次決算(確定申告)
- 財務諸表を作成。
- CITとPITを確定申告。
- 標準の会計年度なら、翌年3月31日までに提出が必要です。
👉 すべての帳票は最低10年間保存する義務があります。
4. 日本企業が陥りやすい失敗
- 事業に集中しすぎて申告期限を忘れる
- 日本本社と決算期がずれて連結決算に支障
- 経費処理ルールを理解せず、不必要に課税所得が増える
- 現地会計士に丸投げして、経営者が内容を把握していない
✅ まとめ
ベトナムの税務は、日本に比べて申告回数が多く、ルールも複雑です。
日本人経営者が最低限の仕組みを理解し、信頼できるバックオフィス代行や会計士と連携することが成功のポイントです。
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