外国送金にかかる源泉税の仕組み【日系企業向け解説】
ベトナムから日本の親会社や取引先へサービス料を送金する際、5〜10%の源泉税が課されるケースがあります。本記事ではその仕組み、計算方法、リスク回避のポイントをわかりやすく解説します。
📑 目次
- 源泉税とは?
- どんな場合に発生するのか
- 計算方法(内訳と税率の概要)
- 実際の計算例
- GrossかNetか?契約条項の重要性
- 申告・納付を怠った場合のリスク
- リスクを回避するためのポイント
7.1. 契約書の確認
7.2. 日越租税条約(DTA)の活用
7.3. 送金前の計画的対応 - 必要書類チェックリスト
- まとめ
1. 源泉税とは?
源泉税(Foreign Contractor Tax – FCT)とは、ベトナム法人が海外の企業へ支払いを行う際に、ベトナム側で税金を控除・納付する制度です。
例:ベトナム子会社が日本の親会社へコンサル料を支払う → 支払額の一部を税金としてベトナムで納める必要があります。
2. どんな場合に発生するのか
源泉税が発生する典型的なケース:
- コンサルティング、教育、技術支援などのサービス料
- ブランド使用料、ソフトウェア、技術ライセンス料
- 親会社や金融機関からの借入利息
- SaaSやクラウドなどオンラインサービス
❌ 純粋な物品輸入(機械・原材料)は対象外です。
3. 計算方法(内訳と税率の概要)
FCTは複数の税目から構成されます:
- 法人税(CIT):売上の約5%
- 付加価値税(VAT):売上の約5%
👉 合計すると 約10% が控除されるケースが一般的です。
4. 実際の計算例
ベトナム子会社A社 → 日本親会社へ 100,000 USD を支払う場合:
- CIT:5% × 100,000 = 5,000 USD
- VAT:5% × 100,000 = 5,000 USD
👉 合計源泉税 = 10,000 USD
→ 親会社が受け取るのは 90,000 USD
→ 子会社は 10,000 USD をベトナム税務局に納付
5. GrossかNetか?契約条項の重要性
| 契約方式 | 親会社が受け取る額 | ベトナム子会社の負担 | ポイント |
| Gross契約(税金込み) | 100,000 USD | 税金10,000 USDを追加負担 → 合計110,000 USD | ベトナム側が負担 |
| Net契約(税引後) | 90,000 USD | 税金10,000 USDを納付 → 合計100,000 USD | 日本側が負担 |
👉 契約書でGross/Netを明確にしないとトラブルの原因になります。
6. 申告・納付を怠った場合のリスク
- 追徴課税+延滞利息(0.03%/日)
- 不足税額の20%に相当する罰金
- 支払額が損金不算入となり法人税の追加負担
- 信用失墜、今後の調査対象となるリスク
7. リスクを回避するためのポイント
7.1. 契約書の確認
- GrossかNetかを明記
- どのサービスが課税対象かを明確化
7.2. 日越租税条約(DTA)の活用
- 日本とベトナムはDTAを締結済み
- 条件を満たせば免税・軽減が可能
- 日本側で 居住者証明書(TRC) を取得して提出することが必要
7.3. 送金前の計画的対応
- 支払いと同時にFCT申告を準備
- 契約段階で税負担の所在を合意
- 日本語・ベトナム語双方で明文化し誤解を防止
8. 必要書類チェックリスト
- 契約書(Gross/Net条項あり)
- 請求書・支払証憑
- 居住者証明書(TRC)
- FCT申告書
- 納税証明書
9. まとめ
- 親会社や日本の取引先への送金でも、ベトナムで源泉税が発生する場合があります。
- 知らずに放置すると、追徴課税や罰金のリスクが高まります。
- DTAを活用した免税・軽減や、契約書段階での工夫が有効です。
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